Sunday, June 18, 2006

桃井はることUnder17

御機嫌よう。肥満度がやせ傾向なのに、中性脂肪が高いHKTLVです。
桃井はることか、Under17をご存知ですか? ナード方面にアンテナを張っている方なら、おそらく知らない人は居ないだろうとは思います。だけど今回のエントリーはむしろ、ナードじゃない人に読んでほしい。音楽をやる人としての桃井はるこなどについて、2004年10月12日に書いた文章をリライトしたものです。間違ったことを書いてる部分があるかもしれませんが、生温い目で読んでやってください。
土日だからって鬼の首を獲ったかの如く、長文エントリーを続けますが、まったりと時間のあるときにでもどうぞ。


 私が初めて桃井はるこのボーカルを聴いたきっかけとなったのは「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」という、書いてて頭が痛くなってくるようなタイトルのアニメ作品だった。詳しい経緯を書く気は起きないけれど、とにかく小麦たん(…)として歌う桃井の声とメロディーに、そしてギター、トラックにぶっ飛ばされた。特に"あなたがだいきらい"って曲はとんでもなかった、後にその楽曲の作曲も桃井の手によるものだということを知って、意味もなくヘコむのだがそれはまだ先の話。
 それからウェブを徘徊して、桃井はること彼女の所属するユニットであるUnder17のことを少しだけ知ることができた。主な活動はエロゲーなどのテーマソング創りとか、所謂「萌え」を枢軸に置いたもののようだった。とあるエロゲーメーカーのサイトに、Under17名義の楽曲がサンプルとして置いてあったので数曲聴いてみた、はっきり言って驚いた。わかり易くて普遍的で、爆発力のあるメロディー。桃井はとんでもない才能を持ったシンガーではないのか、そう思うようになった。
 だがここで、大きな問題がひとつ。桃井はるこ名義にしろUnder17名義にしろ、当時の活動のメインはエロゲー。そう、音源がまったくといっていいほどリリースされていないのだ。音源はあってもエロゲーの初回特典とか、そういった手段でしか手に入らない。単体でリリースされているものといえば、声優としての桃井の音源くらい、要はサントラものとかキャラクターソングものなどばかりだ。
 非常に勿体ないと思った。一部の所謂ヲタ市場のみにしか届かない桃井の方法論が歯痒くてならなかった。この思いは、後にUnder17のアルバムがリリースされてから、さらによりいっそう強くなることになる。

 そんな感じで桃井の音源欲しい病が進行している折り、Under17のアルバムが発売されることを知った。今までのエロゲーやアニメでやった楽曲をコンパイルしたものらしい。約ひと月のインターバルを置いてリリースされるUnder17初の2枚の音源。私はいつも通っている渋谷の小さなレコード屋も、大きな外資系のショップも素通りしてアニメイトに走った。

 別にUnder17は目新しいことをやっているわけでも、ましてやポップミュージックの新機軸を打ち出しているなんてわけでは全然ない。それにも拘らず、今までに聴いたことのない音楽がそこにあった。桃井のボーカルは神がかっていたし、そのメロディーはどのポップミュージックよりもポップだった。そしてUnder17のもうひとり、小池雅也のギターもアレンジも、桃井のボーカルにあり得ないほどハマっていた。勿論、すべての楽曲が手放しで絶賛できるものだったわけではない。似非エイベックストランス(似非の似非!)のようなトラックがあったり、過剰なストリングスなど惜しいと感じる部分もあった。しかし、それでも桃井のボーカルは曇っていなかった。
 2枚のアルバムを繰り返し聴くことにより、どうしても強くなる思いがあった。タワーレコードやHMVに平積みされてもおかしくないようなポテンシャルを持ったUnder17、それがどうして限られたところにしか届かない方法論で音楽を鳴らしているのだろうか。
 何故桃井は「萌え」にこだわるのか。桃井が自身のサイトに書いていた日記を読んで、そして私自身がアキハバラで働き始めたことで、それが少しだけ理解できるようになった。アキハバラを歩きながらUnder17の曲を聴いていると、桃井がアキハバラを本当に強くリプレゼントしているんだなということを強く感じる。例えばTha Blue HerbのBoss The MCが札幌・平岸を、MSCのクルーが西新宿をリプレゼントしているように、桃井はアキハバラに非常に強いこだわりがあるんだろう、だからこそ必然的に「萌え」に向かっているんだろう。そういう解釈はできるようになったものの、もっと広いフィールドで、マスに向けた方法論で勝負してほしいという思いが消えることはなかった。Under17ならそれができるし、するべきだと思った。

 しばらくして、Under17のシングルが2枚リリースされたことを知った。それとUnder17が解散することも。

 シングルを聴く前に、桃井が小麦たんとして歌う音源を何枚か聴いてみた。やはりボーカルだけでも桃井は光っていた。だが桃井がボーカル以外に関わっていたり、Under17小池が関わっている楽曲は他より明らかに輝いていた。小池のアレンジで爆発力を増す桃井、そして桃井の書くメロディーはやはり凄かった。
 そしてニューシングル。この2枚はまたもやタイアップもの、またもや萌え萌えな雰囲気だ、ジャケとかを見る限り。ただ状況は明らかに変わっているのではないだろうか。今までは単体の音源のリリースがほとんどなかったUnder17、それがここに来てシングルが2枚である。これはUnder17の楽曲の商品価値が認められたという意味だ。アルバムはそれなりに届くところには届いたということなのだろうか。
 まずは、"ラブスレイブ"を聴いた。なるほど、イントロ一発でいろいろ考えていたことがどうでも良くなった。「萌え」にこだわりつつも、明らかにUnder17は次の音を鳴らしていた。誰もが口ずさめる普遍的でポップなメロディーと、分厚いギターとシンセ。大袈裟に感じるかもしれないが、ロックンロールが生まれた時の感じと良く似ている。「萌え」にこだわりながらでも、まだまだやることは、やれることはたくさんある、そんなUnder17の決意のようなものを感じた。次は"くじびきアンバランス"なのだが、実はまだ聴いていない。"ラブスレイブ"を聴いた時点で、どうしても何か書かなくてはいけない気がして、今これを書いている。
 Under17は先日開催されたイヴェントで最後のシングルをリリースしたらしい、イヴェント限定で。こういうことをやると、また方法論がどうだとかいうことになるのだが、それはまあどうでもいい。ここで書いておきたいのは、そのUnder17名義でリリースする音源に小池が参加していないということであり、Under17名義でやるライヴに小池が参加しなかったということである。
 桃井の所属事務所(※当時)であるNakidのサイトで、Under17解散についての短い文を読んだ。桃井と小池、連名による文章だが、おそらく桃井が書いたものだろう。方向性の違いで発展的な解散であると、どこかで読んだことのあるようなことが書かれていた。方向性の違い、理由は想像に難くない、勝手な私の想像でしかないが想像するのは自由だ。「萌え」にこだわりアキハバラをリプレゼントし続けるのか、それとももっと広いマーケットに向けてアピールするのか、おそらく一番の問題はここではないだろうか。
 Under17が解散するにあたって気がかりなのが、小池なくして桃井は輝けるのかという点だ。前述した通りUnder17の楽曲でなくても、桃井のボーカルは小池のアレンジやギターがあってこそ爆発力を増す。ソロで活動するとしても、プロデューサーやアレンジャーによっては、桃井はただのイロモノになってしまう可能性も否定できない。まあ桃井は頭の良い人だと思うから、そんな心配は無用なのかもしれないが。

 それにしても、もっとUnder17を聴いていたかった。"ラブスレイブ"では明らかに次の音を鳴らしていただけに、もうすぐ終わってしまうのが残念でならない。
 それじゃ、"くじびきアンバランス"を聴いてみよっかな。アルバムがもう1枚くらい出たら嬉しいなぁ。あー、あとタイアップなしで、素のUnder17としての曲も聴きたい。

と、ここでおしまいです。このあとに聴いた"くじびきアンバランス"、そしてそのB面の"かがやきサイリューム"にメタメタに打ちのめされるのですが、それはまた次の機会に。この"かがやきサイリューム"、Under17の最高傑作じゃないかと思ってるんですよ。書きたくてしょうがないんですが、今から新たに書き起こす元気がちょっとないので。。。
ソロになってからのアレコレとかもあるんですが… まあいいや。
それじゃ、もう寝まーす。じゃね!



モモーイのホームページ宣言!!(仮):桃井はるこの個人サイト
有限会社プラグ・エンタテインメント:桃井はるこ、現在の所属事務所
koikemasaya.com:小池雅也のオフィシャルサイト

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