あらやだ、気がついたらオーミソカですよ。そんなわけで、今年2006年を振り返ってみましょうか。と思ったけどいいや、めんどいし。
んじゃ、久しぶりにやってみましょう、カッテな感想文シリーズ音楽篇。2006年を締め括るのはこちら。
con10po | スチャダラパー (FAEC Inc.)
イントロダクション"con10ts"のタイトなビートに、気が引きしまる。こんなにカッチリした雰囲気は98年の傑作「fun-key LP」を彷彿とさせる。text to speechぽい音声で「奇跡の10枚目」「大傑作」とか言ってるし、無闇矢鱈に期待が高まってきて、変な汁とか出てきそう。
2曲目の"マニュアル"、ガッチガチにタイトなスチャである。こんなにタイトなスチャ、聴いたことない! なんてことを今更書くつもりはない。さっき挙げた「fun-key LP」辺りから彼等はスチャラカでスーダラなだけのスチャダラパーではなかったのだから。
にしても、未だかつてない程タイトなスチャであることは間違いない。2曲目にして「奇跡の10枚目、大傑作」を実証している曲だ。あんまりアニがカッコよくて、リトルシガーの灰をカーペットに落としちゃったよ、アチチ。
畳み掛けるかのように3曲目、"BD発言"。ストリングスが印象的なイントロから、流暢でこれまた激タイトなボーズとアニのラップ。スチャらしいユーモアも織り混ぜてはいるけど、ブチ切れ激怒のスチャダラパーだ。国内のシーンがどれだけ成熟してきたからと言って、こんな切れ味の鋭い日本語ラップはそんなに聴けない。
そしてまた、シンコのトラックが切れまくり。ブリブリにぶっといベースとか、無理矢理なキックとか一切ナシで、こんなにちゃんとカッコいいヒップホップを鳴らしている。
興奮冷めやらぬまま、"Disagree〜涙のディスアグリー"へ。ひと昔前、いやふた昔前の洋楽みたいなタイトルが付いてるこの曲だけど、中身は大マジ。ちょっとだけボーズのフレーズとコーラス部分を引用してみる。
大志は抱けよタダだから
未だに抱いてる30後半
夢は金持ち 夢は金持ち 声に出したい 夢は金持ち
夢は金持ち 夢は金持ち 1日5回 夢は金持ち
こうして打ってて、ディスプレイが涙で滲んできた。まさに涙のディスアグリーである。
「怒」と「哀」を通り抜けて、次は"Soft Focus"。この曲は「楽」だろうか、ちょっとだけホッとできる。このままビシッとタイトなままアルバムが続いたらどうしようかと思ったよ。
「怒」「哀」「楽」と来たら、残るは「喜」。"People People"から"DISCO SYSTEM"への流れ! 気がついたら、狭い部屋でステップを踏んでしまっていた。階下の住人にはほんとに申し訳ない。それにしても10枚目、15年以上やってて、この新鮮さにはまったく溜め息が出る。
アルバムも後半、ヴァイナルならこっからB面だろうか、続いて8曲目は"CATCH the DROP"。毒を吐きつつも、ベタなディスものにしないのは流石だ。アニのラップも最早「ヘタウマ」なんてもんじゃない、超オリジナルのカッコよさ、痺れる。
そして"5 cups"、これはなんだ、スゴイ。シンコのメロウなトラックに、センチメンタルなリリック。これはもう書いちゃってもイイんじゃないだろうか、書いちゃおう。この曲、"サマージャム '95"以来のアンセムだ。他の曲も全部素晴らしいけど、この曲のためだけにアルバムを買ってもいい、それ程の名曲。ワケワカランけど涙が出てくる、クラッシック中のクラッシック。
一転して、またしても苛立ちをそこはかとなく撒き散らす"荒野ウォーカー"から"DAI-KOUBUTSU"。苛立ってはいるんだけど、アニの間の抜けたフレーズに笑わされたりしてしまう。ボーズのタイトさに、アニの茶々入れっていうスチャの黄金律とも言える"荒野ウォーカー"。で、その茶々入れのバカさ加減を煮詰めたような"DAI-KOUBUTSU"。ある意味、アルバムのハイライトと書いてもいいのかもしれない。
いよいよ終盤、生のギターとベースをフィーチャーした12曲目"ジャカジャ〜ン"。とうとう苛立ちを爆発させて、異議を唱えまくる。それにしても、これだけベタなロックぽいギターとベースを使ったトラックで、ちゃんとヒップホップになっている。これはスチャの強度をバッチリ示しているのではないだろうか。ヘタにこんなトラックでラップしようものなら、ショボいミクスチャー確定だ。
ラストは"ソング オブ ザ ヒル"、"5 cups"と同じくセンチメンタル気味だけど、こっちは涙はいらんって感じの、より地に足が付いた曲。最後に、何よりグッと来たアニのフレーズを引用したい。
おっ バス ニューアルバム
ビビッドカラー 酷いビジュアル
悪気なく毒を街にばら撒く
あれ買うぐらいなら募金します
新譜も中古もスルーして
DIY系大型店
全13曲の45分、スチャダラパーの新たな金字塔だと思う。
それじゃ、良いお年を。HKTLVがお送りしました!
www.schadaraparr.net:スチャダラパーのオフィシャルサイト
Fiveman Army:FAEC Inc. のサイト
1 comment:
はじめまして~。
con10poのレビューが読みたくて検索してきたのですが、このレビューとても良いですね。私も5cupsにヤラレちゃった口でw
9thsenseにも11にもない、トラックの包容力というかアンセム要素ってのが得にcon10po全体にあると思います。言ってる事は11同様キレキレですけどw
そういうわけで今もcon10poは頻繁にリピートしてます…。
あとすっごい個人的な感想ですが、イントロ(con10ts)の水のちゃぷちゃぷする音が、気持ちいいですw
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